ホーム > ヨミモノページ



フェリダのヨミモノページ

【インタビュー】 日本赤十字社愛知医療センター
         名古屋第二病院(八事日赤病院)のNICUで
         心理士として活躍する涌井さん
         (臨床心理士・公認心理師)




出生体重1000グラム未満(超低出生体重児)で生まれてきた赤ちゃん
何らかの病気を患って生まれてきた赤ちゃんなどのための
八事日赤病院 NICU(新生児集中治療室)

「b-flower」ではスモールベイビー(低出生体重児)のための
肌着を制作
する活動を始めました。

ここで赤ちゃんのお母さんやお父さんの心のケアに当たっている
「b-flower」代表の
臨床心理士の涌井浩子さんに
仲間とともに立ち上げた「b-flower」についての話を伺いました。




▼「b-flower」の作った肌着を着たスモールベイビー

NICUの低出生体重児の肌着を着たあかちゃん

▼「b-flower」が作る小さく産まれた赤ちゃんの肌着

NICUの低出生体重児の肌着


Flowery Meadows Brightの生地と
クレンゼ加工の日本製オーガニックコットン100%シングルガーゼ ピンク


Fiori di Salernoの生地と
クレンゼ加工の日本製オーガニックコットン100%シングルガーゼ 生成り






フェリダ 涌井さんは現在、八事日赤病院の
NICU(新生児集中治療室)でお仕事をされているということですが
主にどういったことをされているのですか?

涌井さん はい、私は早産や、小さく生まれた赤ちゃん
生まれながらに治療を必要とする赤ちゃんが入院しているNICUで
赤ちゃんのお母さん、ご家族の心のケアをする業務に携わっています。

フェリダ 例えばどのようなケアをされているのですか?

涌井さん 例えばNICUに入院している赤ちゃんの
面会にきているお母さん、お父さんに
「赤ちゃんの様子はどうですか?」と
保育器の中にいる赤ちゃんのそばで話しかけています。
そんな中で、「実はこうしているときでも辛いんです…」
などとつぶやかれるお母さんも少なくなく
その様な方には面談室でお話を聴いているんです。



▼八事日赤病院のNICU(新生児集中治療室)
*八事日赤病院のサイトより

八事日赤病院のNICU(新生児集中治療室)


フェリダ お母さん方はどんなことに苦しんでおられるのですか?
具体的に教えていただけますか?
 
涌井さん 例えば、赤ちゃんがNICUに入院しているということは
お母さんはNICUに来ないと赤ちゃんに会えないんですね。
生まれる前まではずっと自分のお腹の中にいたのに
出産してすぐ、赤ちゃんがそばにいないという
分離不安にお母さんは陥りやすい
んです。

また赤ちゃんの口や鼻からチューブが出ていたり
腕に点滴の針が刺さっている我が子の姿を見て
お母さん自身が赤ちゃんに申し訳ない気持ちがわいてきて
健康に生んであげられなくてごめんなさい
などの罪悪感にも陥りやすいんです。

中には、妊娠している間に
悪いものを食べてしまったのではないかとか
あの時転んだことが原因ではないかとか
あれこれ悪いことを考えてしまいやすいんです。

それと、看護師さんはNICUで24時間赤ちゃんの医療ケアと
授乳やおむつ交換もしているので
お母さんのことを忘れてしまわないか、
看護師さんのほうが居心地いいんじゃないかと
不安になってしまう方もいらっしゃいます。


フェリダ そんなとき涌井さんはどんなケアをされるのですか?

涌井さん 赤ちゃんはしゃべることはできなくても
お腹の中にいたときのお母さんのにおいと声を
生まれてきてからも覚えている
んですね。

だから保育器の中にいて赤ちゃんを抱っこしてあげることが
できなくても、お母さんの手で赤ちゃんに触れたり(タッチング)
両手で体全体を包み込んだり(ホールディング)
することで
手足をばたばたさせていた赤ちゃんが落ち着いていくんです。
バイタル(主に心拍数・血圧・呼吸・体温の4つの数値)が
安定していくと言ってもいいですね。

フェリダ バイタルが安定していくって、見ていてわかるんですか?

涌井さん 赤ちゃんの心拍数や血圧、呼吸などのバイタルサインは
モニターで見ることができるのですが
お母さんがタッチングやホールディングをすると
数値がいい状態に安定していくことはよくあることなんです。
不思議ですよね。薬のような効果がある。
お母さんがそばにいるのを認識して、安心するんでしょうね。

実際、看護師さんが触れてもお母さんほど数値は変わらないんです。

この他に、お母さんがNICUを訪れてもいつも赤ちゃんが眠っているので
この子は目が開くのか、泣くことはあるのかなどと
不安に思ってしまうこともよくあります。

実際、お母さんが会いに来ているときに寝ていることはよくあるんです。
お母さんがそばにいると
赤ちゃんは安心してぐっすり眠るんですよね。
そのことをお母さんに伝えると
赤ちゃんはお母さんのことを認識する力があることや
「自分と赤ちゃんはつながっている」ということを知って
とても安心されるんです。
私の役割のひとつは
「お母さんと赤ちゃんの絆を育む」お手伝いをすることです。


▼小さく生まれた赤ちゃん

スモールベイビーの肌着

スモールベイビーの肌着

撮影時、1320gのかわいい女の子です。

スモールベイビーの肌着

肌着に使用したFlower Streamの生地です。
手前の花柄の大きさを見て、
赤ちゃんの大きさがわかりやすいサイズに
写真をカットしました。




フェリダ どうして小さく生まれた赤ちゃん用の肌着を
作ろうと思われたのですか?

涌井さん それはあるお母さんとの出会いがキッカケです。
そのお母さんは、お家に帰っても赤ちゃんはいない
でもそばにいない赤ちゃんのために夜中
3時間おきに搾乳しないといけない。
それがとても虚しくて
毎晩涙が出てきてしまうということでした。
そういうお母さんってNICUには結構たくさんいるんです。

そんなある日、そのお母さんが
「この子のために家で何かできることはないか」と考えて
肌着を作ってあげようと思い立ったそうです。
でも2000グラム未満の小さなサイズの肌着は
型紙も作り方もどこにもなく

病院でも用意がないとのことでどうしたものかと
私にボソッと相談されたんですね。

たまたまフェリダのスタッフさんと知り合いだったので
彼女と一緒に肌着のサンプルと型紙と作り方レシピを
制作しよう!と動き出して、急ピッチで試作を用意したんです。

そしたらそのお母さんはすっごく喜ばれて
すぐに自分で肌着を作って持ってこられました。
肌着の左胸のあたりには恐竜の刺繍がされていて
お母さんの愛情たっぷりなものでした。
その肌着を我が子の腕に通したとき
今までに味わったことのないほどの幸福感に
包まれた
そうです。

自分で作った服を着ている我が子を見て
それからは、離れ離れでも近くにいるような感覚が持てた
とのことでした。

フェリダ ステキな話ですね。

涌井さん それまでは肌着を
病衣としてしか見ていなかったので
このことがキッカケで「NICUの病衣は母と子の絆を結ぶ」
大切なアイテム
だと気が付いたんです。
以来、病衣としての肌着を
もっとなんとかしたいなと思い立ち
「b-flower」を立ち上げました。





NICUの低出生体重児の肌着を着たあかちゃん

▼「b-flower」が作る低出生体重児用の肌着を着た赤ちゃん

NICUの低出生体重児の肌着を着たあかちゃん


涌井さん NICUはモニターなどの機械が
たくさん並んでいる無機質な空間

でもそこは親と子が触れ合うことのできる唯一の場所なんです。
赤ちゃんが寝ているところは、プラスチック製の保育器。
そんな中で赤ちゃんがかわいい服を着ていると
お母さんお父さんご家族の気持ちもやすらぐと思いました。

だからそんなご家族のためにも
自然の素材で安心できるぬくもりあるかわいい生地で
肌着を用意したい
と思ったんです。



▼八事日赤病院のNICU(新生児集中治療室)
*八事日赤病院のサイトより

NICUの取り組み応援_新生児集中治療室_名古屋八事日赤病院_青空が見える看取りの部屋

別名「空の部屋」とも呼ばれている
天井に青空ステンドグラスのある多目的室。





フェリダ 確か最初は一回のみのボランティア活動と
聞いていたのですが

涌井さん はい。フェリダさんに無償で生地を提供してもらい
知り合いの仲間が集まってボランティアとして肌着を何着か作り
八事日赤病院に寄付させてもらいました。
作り方のレシピと型紙も提供させていただきました。

そしてその後、医療関係者が集まる「八事メッセ」で
肌着を展示したところ思った以上に反響があったんです。
この肌着を必要としている人は
他にもたくさんいると思うという声をきいて
そういう方にも届けたいという思いに変わったんです。

立ち上げたというより
まだこれからスタートするという段階です。

低出生体重児の赤ちゃんに合わせた
様々なサイズの肌着を用意しないといけないですし
他にもいろいろなチューブのついている赤ちゃんのための
特別仕様の肌着なども用意したいと考えています。

他にも自分で作りたいというお母さんのために
簡単に作れるキットを用意したいと思っています。


▼「b-flower」の仲間と一緒に肌着作り

NICUスモールベイビーのための肌着作り2 NICUスモールベイビーのための肌着作り2

NICUスモールベイビーのための肌着作り2 NICUスモールベイビーのための肌着作り2


フェリダ フェリダでは、涌井さんの取り組みと同時に
NICUの赤ちゃんやご両親の現状を
少しでもたくさんの方に知ってもらいたいので
この段階でインタビューをお願いしました。
今後も引き続き「b-flower」の活動を応援させてください!



【最後にフェリダより】
今回の企画応援に参加できてフェリダもとても勉強になりました。
上質なオーガニックコットン
しかも抗菌抗ウイルスのクレンゼ加工されている生地を
提供させていただきました。
でもそれだけではやっぱり柄的にちょっと物足りない。
そこでカラフルかわいいアートギャラリーを
テープとして使ってもらうことで
赤ちゃんのお顔映りもとってもかわいくなりました!
アートギャラリーの生地はピマという高級な超長綿を使用しているので
肌触りがとっても良いのが特徴。
刺激をできる限り少なく抑えたいスモールベイビーのための
肌着としてお役に立てたと嬉しく思っております!

八事日赤病院NICUの取り組みを応援します




 

「b-flower」へのお問い合わせはこちら

「b-flower」代表 
あいち心理カウンセリング 涌井浩子


あいち心理カウンセリング涌井浩子

来談者中心療法、家族療法、認知行動療法、
マインドフルネスなど
様々な技法や考え方を組み合わせた
”統合的アプローチ”という
心理療法を用い、相談者のご要望を聞きながら
悩みやパーソナリティに合わせた
カウンセリングを行っている。





 


病衣というものについて
    病院で着る服「病衣」について
    子供たちが元気になる服を!
    多くの方に知ってほしい内容です


    >>>詳しくはこちらをご覧ください。