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2018年4月、以下の様なメールがフェリダに届きました。


はじめまして、Kと申します。

この度、長期入院をされているお子様のために、
明るく希望のもてるような病衣の制作依頼
がありました。
病院から支給される病衣は、浴衣の様な、検査着の様な、
何とも味気ないものです。

子を思う親の心を痛いほど強く感じ、
私はこのお仕事を受けることにしました。
通常のお子様より体格が小さめで、
薬の副作用か体型的にも少し工夫のいるデザインでした。

親御様とメールでのミーティングを重ね、
何度も試作を繰り返し、
先日やっとゴーサインをいただけました。
その親御様とお嬢様の選ばれた生地がフェリダでした。

柄自体はモノトーンに近く、
とりわけ華やかというわけではありませんが、
まさに明るく、希望のもてるデザインです。
これまで、様々なご依頼を受けてきましたが、
今回は、特別な思いがありましたので、
ふとフェリダ様にお伝えしたくなったのだと思います。

フェリダの生地が、一人の少女の心に希望をもたせ、
病気に立ち向かおうと背中を押してくれているということだけでも
お伝えしたいと思います。










フェリダはネットショップOPEN当初、
闘病されている方々に向けて作品を作りたい
という願いを持っておりました。
以前、病室内のあまりに殺風景な風景に
ショックを受けた経験があり、
介護の必要な方々は24時間こんな殺風景な景色ばかりを
眺めて生活しているのかと考えると
なんとかしなければと思っておりました。
そしてそれがフェリダがカラフルでかわいい生地を
求めた原点
でもあります。

ですが、日々の業務に追われていつしか作品の制作よりも
生地販売をメインとさせていただきましたので、
当初の願いも忘れかけておりました。
K様からのメールではっとさせられました。

そしてK様にお願いし、詳細をお伺いし、
フェリダのヨミモノに掲載させていただくことをご了解いただきました。











■3月14日

私は、病衣というものの認識が全くなかったので、
ネットで検索してみました。
そしてびっくりしました。病衣全般が、
とても画一的で機能性重視、
遊び心や個性がないという印象
を受けたのです。

Y様のご要望は、かっこかわいくて、
気分が明るくなって、快適で自信の持てる病衣
とのこと。
海外の子ども用病衣「WARD+ROBES」を
参考にしてほしいとのことでした。





■その後、デザイン・サイズ・素材・好みの色と
  柄等について意見交換しました。


製作の方針
 快適さ(肌触りの良い素材・ゆとりのあるデザイン)
 体型をカバー(ギャザーを取り入れる)
 受診し易さ(開閉し易さ)はあまり重視せず
 脱ぎ着し易く(かぶるタイプ)
 ラグラン袖のチュニックをイメージ


病衣は、本来いつでもすぐに受診しやすいように、
ヒモ、スナップ、面ファスナー等で開くような作りになっていますが、
ご依頼者様のご意向で、
出来るだけ普通のチュニックのようにいたしました。







■3月21日 Y様よりフェリダ「Asphodel Depth」の生地が
  良いとのご提案がありました。

袖は、レース生地を希望されました。
フェリダ昨年のファッションショーのページより、
気になるチュニックがあったとのこと。





■3月22日 手持ちの大人用パターンをY様の要望に合わせて
  サイズダウンしながら、お嬢様用に改良しました。


 試作を4回繰り返しました。うち2回はY様にお届けし、
 修正箇所を伺いました。
 縫い代の始末が皮膚を刺激しないように、
 伏せ縫いやバイヤスで処理する等、気を配りました。





■4月5日 ようやくY様よりOKをいただき、
  生地を発注しました。






■4月14日 お洋服が完成し、
  Y様へ納品いたしました。


「かわいくもあり、どこか大人っぽくもあり」と
お褒めの言葉をいただきました。お嬢様も、
気に入ってくださったとのこと。
お目にかかったことのないY様に
「我が子を思う限りなく大きな愛」を感じました。
お嬢様には、「ちょっとおしゃれをしたい時、
だれかにお会いする時、
院内学級に通う時などに着てくださるのかな」等と
勝手に思い描いています。

たいへん心温まるお仕事でした。お嬢様が、
心身ともに穏やかに過ごされることをお祈りいたします。






K様より提供いただいた写真より












K様からいただいた経緯や詳細から、
お嬢様のためにとても心を込めて
病衣を制作されたのだということが感じられました。
またご依頼者のY様がフェリダのファッションショーの
記事ページをご覧いただき、
そこからヒントを得ていただいたということが
何よりも感激です。
少しでも誰かのお役に立てていたのかな…と思うだけで、
フェリダスタッフも勇気とやる気がもらえます!

そして明るくてかわいい柄の生地で、
人々に少しでも元気を与えられたらいいなと
考えていた初心を思い起こされました。
フェリダはスペイン語でFelicidad(幸せ)からの造語です。
そうなんです。カラフルでかわいい生地で
少しでもたくさんの方が幸せになってくれたらいいなと思って
店名をフェリダとしたのです。

今後も、小さな小さな力かもしれませんが、
皆様の小さな小さな縁の下の力持ちになれるショップを目指して
頑張りたいと思います。






K様、この度はご協力ありがとうございました。
Y様、K様を通して記事として掲載させていただけるご了承を
いただきありがとうございました。
またフェリダの生地を気に入っていただき、
お選びいただき本当にありがとうございました(^-^)







この記事が病衣というものの意識を少しでも変えることができたら…
という思いを込めて、フェリダで掲載させていただきました。
カラフルでかわいい生地が変えられる
小さな小さなことを今後も模索したいと思います。




ご協力いただいた作家様

あなただけの縫製工場「nutte(ヌッテ)」 登録職人
「ikurin60」 さん








海外の子ども用病衣「WARD+ROBES」について


フェリダも初めて知りました。

カナダの非営利団体Starlight Children’s Foundation Canadaが、
トップデザイナーと共同で、病院に長期入院している子供たちに、
「自分らしく」いるためにオシャレな「ホスピタルガウン」
(病院内で着る服=病衣)を用意しています。



10代は個性を大事にする洋服を一番着たい年ごろなのに、
入院している間はみんな同じような個性のない
「病人服」を着せられてしまう。
病気だとオシャレをしてはいけないの?

入院している子供たちは言います。
「病院服を着ていると病人みたい」
「個性がなくてみんな同じでこんなの着たくない」
「なんか楽しくない」(ビデオより)


そんな子供たちのために、
誰もが知っているハリウッド女優の衣装をデザインした
トップデザイナーが子供たちのために
「ホスピタルガウン」をデザインしているのが、
この「WARD+ROBES」なのだそうです。
これらのガウンを着て、何かパワーを得てもらえたら…
とデザイナーは言います。


たくさんのオシャレなガウンを見て、
子供たちはとても嬉しそうに自分の好みのガウンを選んでます。






フェリダでは、病衣だけに関わらず、
「カラフルかわいい布でできる小さな小さなお手伝い」を
大事にさせていただきたいと考えております。
皆様方の取り組みで、ぜひフェリダのウェブサイトで
紹介してほしい内容等ございましたら、
お気軽にご連絡、ご相談ください。
 *内容によっては取り上げられないケースもございます。
その際はご了承ください…